電界と電位について分かりやすく解説

理論(電気回路,電磁気,電子回路等)
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こんにちは,ハヤシライスBLOGです!今回は点電荷が作る電界と電位について分かりやすく解説します!
まずは,点電荷が作る電荷と電位について解説する前に,そもそも電界と電位とは何かについて説明します(^^)/

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電界とは?

図1の左図のように,電荷の周囲には「電界」と呼ばれる空間が作られます。この空間に別の電荷を置くと,その電荷は電界から力(静電力)を受けます! つまり,電界とは,電荷に力(静電力)を与える空間 のことで,点電荷に与える力の大きさは以下の式で表されます(^^)/

F = qE
F[N]:点電荷が電界から受ける力の大きさ
q[C]:点電荷の電気量
E[N/C]:電界の大きさ

図1 電界=「電荷に静電力を与える空間」

電界の大きさと向き

上記のF=qEの式で,q=1[C]とするとF=Eとなります。これは,「+1[C]の点電荷が受ける力の大きさが,電界の大きさである」ということを意味しています。つまり,電界の大きさが知りたければ,その電界中に+1[C]の点電荷を置いて,この+1[C]の点電荷が受ける力を調べれば,電界の大きさがすぐに分かるということになります!これは点電荷の作る電界を求める際に,重要な点ですので覚えておきましょう(^^)/

図2 電界の大きさ=「+1[C]の電荷に働く静電力の大きさ」

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電位とは?

電荷も位置エネルギーを持つ

少し力学の分野の復習になりますが,図3の左図のように,高いところにある物体は位置エネルギーを持ちます!その大きさは,物体の位置が高ければ高いほど大きく,そして,物体の重さが重いほど大きくなります!これと同じで,図3の右図のように電荷も位置エネルギーを持ち,その大きさは以下の式で表され,電位が高いほど,そして電荷の電気量が大きいほど大きくなります!

U = qV
U[J]:点電荷が持つ位置エネルギー
q[C]:点電荷の電気量
V[J/C]:電位の大きさ

図3 物体と電荷の位置エネルギーのイメージ

そもそも位置エネルギーとは?

話はまた力学の分野に戻りますが,全く動いていない物体に,そもそもなぜエネルギーがあるのでしょうか?止まっている物体にエネルギーがあると言われてもぱっとは理解できないかと思いますが,答えは簡単です!それは,物体を上に置くために誰かが外から力をかけて仕事をした(エネルギーを与えた)からです(^^)/  図4のように,100[kg]のボールを10[m]や100[m]の高さに持っていくためには,重力に逆らって上向きの力をかけて10[m]や100[m]持ち上げる必要があります。要するに,物体を高い場所へ運ぶためには,重力に逆らって外からエネルギーを与えており,これが位置エネルギーになるわけですね(^^)/ つまり,位置エネルギーとは,物体をその位置に置くために必要なエネルギーということになります!当然,重ければ重いほど,高いところへ運ぼうとすればするほど,それだけエネルギーが必要になりますので,位置エネルギーも大きくなります(^^)/

図4 位置エネルギーとは?

では,力学では重力に逆らって仕事をしましたが,電荷を運ぶためには何に逆らって仕事をする必要があるのでしょうか?それはズバリ,電界が電荷に与える力(静電力)です(^^)/ 図1で説明したように,電界はその空間においた電荷に対してF=qEの力を与えます! つまり,電荷が電界から受ける力に逆らって,外から与えたエネルギーの大きさ(仕事をした大きさ)が電荷の位置エネルギーということなります!

電位の大きさ

ここまでの説明で,電荷が位置エネルギーを持ち,その大きさは電荷が電界から受ける力に逆らってした仕事の大きさに等しいことが分かりました(^^)/ ですが,まだ電位について説明していませんでした!

上述のU=qVの式で,q=1[C]とするとU=Vとなります。これは,「+1[C]の点電荷が持つ位置エネルギーが,電位の大きさである」ということを意味しています。つまり,電位とは+1[C]の電荷が持つ位置エネルギーのことを指します(^^)/ これは点電荷の作る電位を求める際に,重要な点ですので覚えておきましょう(^^)/

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点電荷の作る電界

ここまででようやく電界と電位がなんとなく理解できたと思いますので,実際に点電荷の作る電界を求めてみましょう!

クーロンの法則を使って求めてみよう!

図5のように点電荷同士には,同じ符号の電荷であれば反発力が,異なる符号の電荷であれば引き合う力が働き,その大きさは以下のクーロンの法則により求めることができます(^^)/

F[N]:静電力の大きさ
Q1,Q2[C]:点電荷の電気量
r[m]:点電荷間の距離
k[N m^2/C^2]:比例定数(真空中は9.0×10^9)

 

図5 点電荷が同士に働く力

では実際にこのクーロンの法則を使って,電界を求めてみましょう!
いきなりある点の電界を求めろと言われても,何をしたらいいか分からないと思いますが,ここでポイントになるのが,「電界の大きさ=+1Cに働く静電力の大きさ」という点に着目することです! つまり,+1Cに働く力の大きさがその点における電界の強さとイコールになりますから,ある点での電界の大きさを知りたければ,その点に+1Cの電荷を置き,+1Cに働く力の大きさを調べればよいということになります(^^)/
したがって,点電荷Q1が作る電界の大きさは,以下のようになります!

図6 点電荷の作る電界の大きさ

点電荷の作る電位

続いて,図7のように点電荷の周りの電位を求めてみましょう!

図7 点電荷の作る電位を求めてみよう

ここで,今一度電位について復習すると,電位の大きさは「+1Cの点電荷が持つ位置エネルギー」と同じであり,電荷の位置エネルギーとは「電荷が電界から受ける力に逆らって運ぶのに必要なエネルギー」ですから,ある点の電位の大きさ=「+1Cの点電荷を,電界から受ける力に逆らって電位0の点(無限遠)からその点まで運ぶのに必要なエネルギー」ということになります(^^)/

図8 点電荷の作る電位を求める際のポイント

もしもの話(電界の大きさがどこでも同じだったら)

それでは実際に+1[C]の電荷を電界から受ける力に逆らって運ぶのに必要なエネルギーを求めてみましょう(^^)/ まず,簡単のために電界の大きさががどの場所でも一定の場合を考えてみます!

例えば,図9のように,電界の大きさがどの場所でも100[J/C]である状況で,+1[C]の電荷を電位0[V]の点から仮に200[m]離れた地点まで運ぶ場合を考え,この時の仕事を求めてみましょう(^^)/

仕事の公式は「仕事=外力(電界に逆らって外からかける力)×移動距離」です!

今は電界の大きさがどの場所でも100[J/C]の場合を考えていますので,+1[C]の電荷が電界から受ける力は場所によらずF=qE=1*100=100[N]になります!この力に逆らって外力100[N]をかけて200[m]運ぶので,仕事は100×200=20000[J]と簡単に求めることができます!

「仕事=外力(電界に逆らって外からかける力)×移動距離」を図にしたのが図10になります!要するに,仕事は横軸を移動距離,縦軸を外力とした場合の面積から求めることができます!今回のように電界の大きさが場所によらず一定の場合,外力の大きさも一定になりますから面積は単純に長方形の面積の求め方で簡単に計算できますね(^^)/

図9 電界の大きさが場所によらず一定の場合

図10 仕事の求め方(電界の大きさが場所によらず一定の場合)

現実の話(電界の大きさは場所によって変わる)

ここでようやく現実の話を考えます! 図6で説明したように,実際の電界の大きさは場所によって異なり,点電荷に近いほど電界が強く,遠いほど弱くなります! したがって,電界に逆らって外からかける力の大きさも場所によって変わってしまいます! こうなると,仕事の求め方が先程の電界の大きさが一定のケースと比べて,やや複雑になるのが分かると思います(^^)/

実際に図12が,横軸を移動距離,縦軸を外力とした図になります! 電界は点電荷に近いほど強くなりますから,必要な外力も同じように点電荷に近いほど強くなることが分かります! 「仕事=横軸を移動距離,縦軸を外力とした場合の面積」という点は先程と変わりませんので,後はどうやってその面積を求めるかですが,図12からも明らかなように求める面積の形は単純な長方形にはならないので,今回は積分が必要になります(^^)/  実際に積分すると,点電荷の作る電位を求めることができます!

図11 電界の大きさが場所によって変わる場合

図12 仕事の求め方(電界の大きさが場所によって変わる場合)

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