誘導機の原理を分かりやすく解説(後編) -トルクと渦電流-

機械(同期機,誘導機,直流機,変圧器等)
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こんにちは,ハヤシライスBLOGです!

誘導機の原理を分かりやすく解説(前編)では,回転磁界によってなぜ誘導機の回転子に電流が流れるかを説明しました!こちらの記事をまだお読みになっていない方は,是非読んでみてください(^^)/

誘導機の原理を分かりやすく解説(前編) -回転磁界と渦電流-
こんにちは,ハヤシライスBLOGです! 今回は誘導機の原理について,できるだけ分かりやすく解説します。よろしくお願いします! 誘導機とは 誘導機には誘導発電機と誘導電動機があります。誘導発電機の場合は,誘導機を回転させる力を交流の電気...

誘導機の原理を分かりやすく解説(後編)では,回転子に流れた電流によって,フレミングの左手の法則により誘導機の回転子にどのように力が働くかについて解説します!

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フレミングの左手の法則

磁界の中を電流が流れる場合,電流は図の向きに力を受けます(^^)/

図1 フレミングの左手の法則

例えば下の図では,フレミングの左手の法則により,左側の導体には下向きの力が働き,右側の導体には上向きの力が働きます(^^)/


図2 フレミングの左手の法則の一例

さて,誘導機の原理を分かりやすく解説(前編)では,誘導機の回転速度と回転磁界の回転速度を以下の3パターンに分けて考えました!それぞれ磁界から見た導体の動きが違って見えましたよね?
後編では,この違いによって,回転子に働く力がどのように変わっていくのかを,フレミングの左手の法則を使って解説していきます(^^)/
・導体の回転速度<回転磁界の回転速度の場合(誘導電動機の場合)
・導体の回転速度>回転磁界の回転速度の場合(誘導発電機の場合)
・導体の回転速度=回転磁界の回転速度の場合

導体の回転速度<回転磁界の回転速度の場合(誘導電動機の場合)

回転磁界と導体が反時計回りに回転し,回転磁界は1秒間に50回転,導体はそれよりも遅い1秒間に45回転しているとしましょう!
この場合,図3のように,磁界から見ると導体が回転方向と反対方向に(この例では時計回り)に5回転して見えます(^^)/ 結果的に,磁界の中を導体が移動しているので,フレミングの右手の法則により回転子の巻線に電圧が発生し,電流が流れます。

良く分からない方は,以下の記事で詳しく解説していますので,是非読んでみてください(^^)/

誘導機の原理を分かりやすく解説(前編) -回転磁界と渦電流-
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図3 磁界から見た導体の動き
導体の回転速度(反時計周りに45回/s)<磁界の回転速度(反時計周りに50回/s)の誘導電動機の場合

さて,ここからが今回の記事のポイントです!
フレミングの右手の法則によって,回転子の巻線に電流が流れました。この流れた電流こそが,フレミングの左手の法則によって,回転磁界から力を受けます!
磁界の向きは右向きであり,電流の向きは左側の導体では手前から奥の向き,右側の導体では奥から手前の向きであるため,フレミングの左手の法則により,左側の導体には下向きの力が働き,右側の導体には上向きの力が働きます(図4)(^^)/ これによって,全体としては回転方向(この例では反時計回り)に力を受けます!

図4 回転子が回転磁界から受ける力の向き
導体の回転速度(反時計周りに45回/s)<磁界の回転速度(反時計周りに50回/s)の誘導電動機の場合

ここで改めて図4についておさらいをすると,図4はあくまで回転磁界から見た導体の動きを示した図であり,実際の回転磁界と導体はどちらも反時計回りに回っていたことを思い出してください!電流が回転磁界から受ける力が反時計回りであるということは,すなわち,誘導電動機では,回転子が回転磁界から回転方向に力を受けていることを意味します!

  • (参考)誘導機などの回転機の基礎を0から勉強したい方にオススメの書籍

    今回の記事では,誘導機の原理を中心に解説していますが,実際に大学の講義の試験の問題や電験3種の試験を解くには,もっと幅広い知識が必要になります!以下の書籍は,誘導機などの回転機(直流機,誘導機,同期機)を0から勉強する初学者の方にとってもオススメの本です!沢山のイラストを用いて,誘導機を0から丁寧に説明しているだけでなく,変圧器や直流機、同期機についても丁寧に解説されています!また,付録の問題集では,電験3種の過去問が単元毎に整理されているので,理解度を確認するのに非常に便利です!著者も愛用していますので,是非読んでみてください(^^)/

導体の回転速度>回転磁界の回転速度の場合(誘導発電機の場合)

今度は,回転磁界と導体が反時計回りに回転し,回転磁界は1秒間に50回転,導体はそれよりも速い1秒間に55回転しているとしましょう!この場合,図5のように,磁界から見ると導体が回転方向に(この例では反時計回り)に5回転して見えます。
誘導電動機の例とは,磁界から見た導体の回転方向が反対になりますので,フレミングの右手の法則により回転子に流れる電流も図3とは反対になります!

図5 回転磁界から見た導体の動き
導体の回転速度(反時計周りに55回/s)<磁界の回転速度(反時計周りに50回/s)の誘導発電機の場合

したがって,フレミングの左手の法則により,左側の導体には上向きの力が働き,右側の導体には下向きの力が働き,全体としては回転方向と反対方向に(この例では時計回り)に力を受けます!誘導発電機では,回転子が力を受ける向きは回転方向と反対方向になります!

図6 回転子が磁界から受ける力の向き
導体の回転速度(反時計周りに55回/s)<磁界の回転速度(反時計周りに50回/s)の誘導発電機の場合

導体の回転速度=回転磁界の回転速度の場合

今度は,回転磁界と導体が反時計回りに回転し,回転磁界と導体の両方とも1秒間に50回転しているとしましょう!この場合,図7のように,磁界から見ると導体が止まって見えます! したがって,磁界から見て導体は速度をもたないので,フレミングの右手の法則により電圧は発生せず,電流も流れません。当然,電流が流れないのですから,フレミングの左手の法則により,回転子に力は働きません(^^)/

図7 回転磁界から見た導体の動き
導体の回転速度(反時計周りに50回/s)<磁界の回転速度(反時計周りに50回/s)の場合

図8 回転子が回転磁界から受ける力の向き
導体の回転速度(反時計周りに50回/s)<磁界の回転速度(反時計周りに50回/s)の場合

    • (参考)誘導機を分かりやすく解説してみた!

      以下は,回転磁界によって誘導機の回転子に何故電流が流れるのか,誘導機の等価回路を分かりやすく解説した記事になりますI無料で読めるので,是非読んでみてください(^^)/

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以上です。この記事が少しでも皆さんの役に立っていると嬉しいです(^^)/

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